神戸地方裁判所 平成2年(ワ)67号 判決 1992年1月17日
原告
吉岡勝義
被告
植松一男
ほか二名
主文
一 原告らの請求を、いずれも棄却する。
二 訴訟費用は、原告らの負担とする。
事実及び理由
以下、「被告小國真治」を「被告小國」と、「被告有限会社山広運輸興業」を「被告会社」と、略称する。
第一請求
被告らは、各自
一 原告吉岡勝義に対し、金二一九万三五三六円及びこれに対する昭和六一年六月二〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を
二 原告植松一男に対し、金三三七万一九六一円及びこれに対する昭和六一年六月二〇日から支払いずみまで年五分の割合による金員を
各支払え
第二事案の概要
本件は、大型貨物自動車(トレーラー)と衝突した軽四輪貨物自動車の運転者とその同乗者が、右衝突により負傷したとして、右大型貨物自動車の運転者に対し民法七〇九条に基づき、右車両の保有者に対し自賠法三条に基づき、それぞれ損害の賠償を請求した事件である。
一 争いのない事実
1 別紙事故目録記載の交通事故(以下、本件事故という。)の発生。
2 被告らの本件責任原因(被告小國につき民法七〇九条所定の過失。被告会社につき自賠法三条所定の運行供用者。)の存在。
3 原告吉岡が本件事故により受傷した事実。
4 損害の填補
被告会社が本件事故後原告吉岡に対して金一四万二二〇〇円を原告植松に対して金一二万二五九〇円を各支払つた事実。
二 争点
1 原告らの本件受傷の具体的内容及びその治療経過。
2 原告らの本件損害の具体的内容。
3 消滅時効の成否。
被告らの主張
(一) 原告らが、本件事故による損害及び加害者である被告らを知つたのは、右事故直後である。即ち、原告らは、右事故後直ちに受傷したとして病院へ赴いており、右時点で、同人らの人身損害を知り、かつ加害者である被告らも知つたものである。
よつて、仮に、原告らが被告らに対して本件事故による損害賠償請求権を取得したとしても、右各損害賠償請求権は、本件事故日の昭和六一年六月一九日から起算して三年を経た平成元年六月一九日の経過をもつて、その消滅時効が完成した。
(二) 仮に、原告植松に本件後遺障害が残存したとしても、同人の本件受傷の症状固定は、昭和六一年九月一九日である。
したがつて、同人の右後遺障害に基づく損害賠償請求権も、同日から起算して三年を経た平成元年九月一九日の経過をもつて、その消滅時効が完成した。
(三) 原告吉岡は、後記のとおり、被告会社が川北病院に対して同人の治療費を支払つたことをもつて被告会社の同人に対する債務承認である旨主張するが、仮に右主張が認められるとしても、被告会社の右治療費支払日は昭和六一年七月五日であるから、右同日から起算して三年を経た平成元年七月五日の経過をもつて、同人の被告会社に対する本件損害賠償請求権も、その消滅時効が完成した。
(四) よつて、被告らは、本訴において、右消滅時効を援用する。
原告らの主張
原告らの本件損害賠償請求権の消滅時効につき、その起算日である「損害を知りたる時」は、原告らの本件受傷が治癒ないし症状固定した日と解すべきである。
蓋し、交通事故による傷害のように、損害が日々継続発生する継続的不法行為においては、その傷害が治癒ないし症状固定した日が到来しなければ損害は確定し得ず、「被害者が損害を知りたる」ことは不可能だからである。
しかるに、本件において、原告らの本件受傷が治癒もしくは症状固定したのは、昭和六二年五月末ころであり、同人らが本訴を提起したのは平成二年一月二四日であるから、同人らの本訴提起時、同人らの被告らに対する本件損害賠償請求権の消滅時効は、未だ完成していなかつた。
4 消滅時効の阻害事由の存否
(一) 時効中断事由たる債務承認の成否
原告らの主張
被告会社は、昭和六二年二月一二日頃、川北病院に対し、原告吉岡の本件治療費(昭和六一年六月二〇日から昭和六二年一月八日までの自己負担分)を、昭和六二年六月頃、八十嶋病院に対し、原告植松の本件治療費(昭和六一年六月二〇日から昭和六二年五月二七日までの自己負担分)を、各支払つた。
被告会社は、原告らの右治療費を支払つた時点において、同人らの本件損害賠償請求権の存在、即ち、被告会社の原告らに対する本件損害賠償債務の存在を承認したものである。
よつて、被告会社の右債務承認によつて、本件消滅時効の時効期間は、中断された。
被告らの主張
被告会社が川北病院に対して原告吉岡の本件治療費の一部を支払つたことは認めるが、原告らの右主張にかかるその余の事実及び主張は、全て争う。
被告会社が右治療費を支払つたのは、昭和六一年七月五日であり、その金額は金四万二二〇〇円である。又、被告会社は、原告植松の本件治療費を支払つていない。
被告会社が原告吉岡の本件治療費を支払つたのは、川北病院に対してであつて原告吉岡自身に対してではない。即ち、被告会社は、原告吉岡に対しては何らの態度表示をしていない。
よつて、被告会社の右治療費の支払いは、原告ら主張の債務承認に該当しない。
仮に、右治療費の支払いが原告ら主張の債務承認に該当するとしても、本件消滅時効の完成に対して何ら影響しないことは、前記主張のとおりである。
仮に、被告会社が八十嶋病院に対して原告植松の本件治療費を支払つたとしても、右治療費の支払いは、原告植松自身に支払つたものでないから、原告吉岡の本件治療費の支払いと同じく、原告ら主張の債務承認には該当しない。
(二) 被告らの信義則違反行為の存否
原告らの主張
原告らは、平成元年六月一四日、被告小國に対して、原告らの本件事故による損害の賠償を請求する旨の書面を内容証明郵便として送付し、右書面は、同月一五日、被告小國に送達された。
原告らは、その後、丸岡英彦を代理人として、被告らと数次にわたり右損害賠償について示談交渉を行つた。
被告らは、原告らの右損害の存在を十分知悉していたものである。
しかるに、被告らは、原告らの右損害の存在を知りながら、あえて右示談交渉に誠意をもつて臨まなかつた。
特に、被告らは、本件事故発生により三年を経過する日の僅か数日前に、原告らから右内容証明郵便による書面を受け取つたのであるから、右時点において原告らと誠実に右示談交渉を行うべきであつた。原告らは、被告らが誠意をもつて右示談交渉に応じると期待していた。
ところが、被告らは、右示談交渉につき全く誠意を示さず、ただひたすら日時の経過を待ち、右示談交渉は、全く進展しなかつた。
そこで、原告らは、平成二年一月の正月休み明けに至り、原告ら訴訟代理人に相談し、同年一月二四日、やむなく本訴を提起したものである。
右事実から明らかなとおり、被告らは、本件事故の加害者でありながらその示談交渉につき不誠実な言動に終始している。
かかる被告らに本件消滅時効を援用する資格はない。
よつて、被告らの本件消滅時効の援用は、信義則に反し無効である。
被告らの主張
原告らの右主張は、全て争う。
5 過失相殺の成否
被告らの主張
本件事故の発生には、原告吉岡の他車両動静確認不十分、安全運転義務違反の過失があつた。
原告らの主張
原告吉岡は、交通法規にしたがい、安全を十分に確認して原告車を走行させていた。
したがつて、原告吉岡には、本件事故の発生につき何ら過失がない。
第三争点に対する判断
一 原告らの本件受傷の具体的内容
1 原告吉岡
(一) 原告吉岡が本件事故当時原告車を運転していたこと、右事故の態様、同人が右事故により受傷したことは、当事者間に争いがない。
(二) 証拠(乙二、原告吉岡本人。)によれば、原告吉岡は、本件事故当日夜半頃より同人の首部に異常を覚え、吐き気も生じたので、翌二〇日、川北病院に赴き診察を受けたところ、頸部捻挫の診断を受けたことが認められる。
なお、原告吉岡は、本件受傷内容の一つとして頭部外傷を主張するが、右主張事実は、未だこれを肯認するに至らない。
なるほど、原告吉岡の関係診療録(乙二)及び診断書(乙四)には、同人の本件傷病名として、右頸部捻挫と並んで頭部外傷が掲記されている。
しかしながら、右診療録を詳細に検討すると、右診療録中には、担当医の本件事故に関する問診結果として、原告吉岡が右事故直後一瞬意識消失?と記載されており、担当医も、原告吉岡の右陳述に対して疑問を抱いたことが認められること、原告吉岡の頭部検査の結果は、いずれも異常がなく、同人の意識は清明であり、外傷の存在を認められなかつたことが認められるし、右認定各事実と、後記認定にかかる、原告吉岡の右事故直後における行動を合わせ考えると、原告吉岡が右事故により右主張にかかる傷害を被つたことは、未だこれを認め得ない。
2 原告植松
(一) 原告植松が本件事故当時原告車に同乗していたこと、右事故の態様は、当事者間に争いがない。
(二) 証拠(甲五、検甲三ないし八、乙一、原告植松本人。)によれば、次の各事実が認められる。
(1) 原告車は、軽四ワゴン車で、運転席・助手席の後部にも座席(折り畳み型)があり、右後部座席の後方は荷台になつている。
原告植松は、本件事故直前、原告車の後部座席中助手席後方の座席に座つていた。そして、右後部座席の後方の荷台には、洗剤ワツクス入り二〇リツトル罐(ペール罐。鉄製。直径約三〇センチメートル、高さ約五〇センチメートル。)五罐が、固定されず無造作に平積みされていた。
右積荷の五罐が、右事故発生と同時に前方に移動して後部座席の背もたれに当たり、その衝撃により右背もたれが前方に倒れた。
原告植松も、右衝撃により前方に押し出され、運転席・助手席と後部座席との間に膝を付く形で倒れた。
前方に押し出された来た右罐が、その際、後部座席の背もたれ越しに、同人の腰部(ベルトのやや上部付近)に当たつた。
(2) 原告植松は、右事故当時夜になつて腰部に痛みを覚え、翌二〇日、八十嶋病院へ赴き診察を受けたところ、腰椎捻挫、左肩甲部・左肘関節部・左膝関節部打撲の診断を受けた。
3 右認定各事実を総合すると、原告吉岡は、本件事故により頸部捻挫の、原告植松は、右事故により腰椎捻挫・左肩甲部等打撲等の、各傷害を被つたと認められ、その結果、原告らは、被告らに対し、右事故によつて被つた各損害(所謂人損)の賠償を請求する権利を有するに至つたというべきである。
二 消滅時効の成否
被告らは、原告らの被告らに対する本件各損害賠償請求権の消滅時効を主張しているので、原告ら主張の本件損害額に対する判断をさて置き、被告らの右主張の当否につき判断する。
1 原告らが本件事故の翌日各病院で診察を受けたこと、診断された本件受傷の具体的内容は、前記認定のとおりである。
2 証拠(被告小國本人、弁論の全趣旨。)によれば、被告小國は、本件事故発生直後、原告らと右事故現場において話をしたこと、被告小國は、原告らに対して、その場で「すみません。」と謝つたこと、同人ら一同が、その後、揃つて関係警察署(高速隊事務所)に赴いたこと、原告らは、その間、被告小國に対して、原告吉岡において「たいしたことはないから大丈夫。」と、原告植松において「以前こういうことがあつてえらいめに会つた。処理だけはちやんとしないといけない。」と申し向けたこと、原告らは、右事故直後、被告車が被告会社所有であることを知つたことが認められる。
3 (一) 右認定各事実を総合すると、原告らは、本件事故の翌日である昭和六十一年六月二〇日、右事故の加害者が被告らであること及び右事故に基づく損害の発生を知つたというのが相当である。
(二) ところで、不法行為の被害者が当該不法行為に基づく損害の発生を知つた以上、その損害と牽連一体をする損害であつて、当時においてその発生を予見することが可能であつたものについては、全て被害者においてその認識があつたものとして、民法七二四条所定の時効(消滅時効)は、右損害の発生を知つた時から進行を始めるものと解すべきであり、ただ、右不法行為によつて被害者が受傷し、右受傷後相当期間を経過して現れた後遺障害の損害賠償請求権の消滅時効は、右後遺障害が顕在化した時が右法条にいう損害を知つた時に当たり、後遺障害に基づく損害であつて、その当時において発生を予見することが社会通念上可能であつたものについては、全て被害者において認識があつたものとして、当該損害についての賠償請求権の消滅時効は、その時から進行を始める、と解すべきである(最高裁昭和四二年七月一八日第三小法廷判決民集第二一巻第六号一五五九頁。同昭和四九年九月二六日第一小法廷判決交通事故民事裁判例集第七巻第五号一二三三頁参照。)。
(三) これを本件について見るに、前記認定説示によれば、
(1) 原告らの本件損害中後遺障害に基づく損害以外の損害は、原告らが知つた前記損害と牽連一体をなす損害と解されるから、右各損害の賠償請求権については、原告らが右損害及び本件加害者である被告らを知つた日(昭和六一年六月二〇日)の翌日である昭和六一年六月二一日から民法七二四条所定の消滅時効が進行を開始した、というべきである。
(2) 次いで、原告らの本件損害中後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効について検討する。
原告吉岡については、本件後遺障害の残存についての主張がないから、そもそも右消滅時効は、当初から問題にならない。
原告植松は、本件後遺障害の残存を主張しているが、右主張事実にそう証拠は、原告植松本人の供述しかなく、右供述は、後掲証拠と対比してにわかに信用することができない。
かえつて、原告植松の本件診断書(甲三)によれば、同人の八十嶋病院における治療終了が症状固定ではなく中止となつていること、同人の自賠責保険後遺障害診断書(甲五)によれば、右診断書において、症状固定日欄に昭和六二年五月二七日と記載されているものの、他覚症状及び検査結果欄には特記すべきものなしと記載されていることが認められ、右認定各事実に照らしても、原告植松の右主張事実は、これを肯認し難い。
右認定説示のとおり、原告植松に本件後遺障害の残存が肯認し得ない以上、同人の右後遺障害に基づく損害賠償請求権の存在も認め得ず、したがつて又、右損害賠償請求権の消滅時効も、問題になる余地がない。
(四) 以上の認定説示を総合すると、原告らの本件各損害賠償請求権は、後遺障害に基づく損害以外の損害についての賠償請求権というべきであるから、消滅時効の対象となる各損害賠償請求権も、これに限られることになる。
そうすると、右各損害賠償請求権については、前記認定にかかる、昭和六一年六月二一日から起算して前記法条所定の三年を経た平成元年六月二〇日の経過とともに、それぞれ右消滅時効が完成した、というべきである(民法七二四条所定の三年の時効期間の計算において、初日を算入しないことについては、最高裁昭和五七年一〇月一九日第三小法廷判決民集第三六巻第一〇号二一六三頁参照。)。
なお、本件において、右認定説示に反する事実の主張はない。
三 消滅時効の阻害事由の存否
1 時効中断事由たる債務承認の成否
(一) 原告吉岡関係
(1) 被告会社が川北病院に対し原告吉岡の本件治療費の一部を支払つたことは、当事者間に争いがない。
(2) 原告吉岡において、被告会社の右治療費支払い日は昭和六二年六月頃である旨主張するが、右主張事実を認めるに足りる証拠はない。
かえつて、証拠(甲八、乙六。)によれば、川北病院が被告会社の負担として請求した、原告吉岡の本件治療費の一部は、金四万二二〇〇円であるところ、被告会社は、昭和六一年七月五日、右請求治療費金四万二二〇〇円を右病院へ支払つたことが認められる。右認定各事実に照らしても、原告吉岡の右主張事実は、これを肯認し得ない。
むしろ、右認定各事実を総合すると、被告会社が右治療費の支払いをしたのは昭和六一年七月五日と認めるべきである。
(3) しかして、時効中断事由としての債務承認における、所謂承認は、その表示が権利者本人に対して直接なされた場合のほか、権利者本人と一定の関係にある者に対してなされれば、それによつて右本人に対して右承認がなされたと見て良い場合があると解されるところ、右表示を受領した者と権利者本人との間の右一定の関係の存在は、右債務承認によつて利益を受ける者、即ち、権利者に、その主張・証明責任があると解するのが相当である。
本件において、右説示にかかる権利者が本件損害賠償請求権者である原告吉岡であることは前記認定説示から明らかである故、右説示からすると、被告会社の川北病院に対する原告吉岡分本件治療費の支払いが同人主張の債務承認となるためには、川北病院と原告吉岡間に右説示にかかる一定の関係が存在する旨の主張・立証が不可欠といわざるを得ない。
しかるに、本件においては、右説示にかかる事実の主張・立証がない。
よつて、原告吉岡における本件債務承認の主張は、その余の主張事実の存否について判断するまでもなく、右説示の点で既に理由がない。
(二) 原告植松関係
(1) 証拠(甲四、弁論の全趣旨。)によれば、被告会社が八十嶋病院に対し原告植松の本件治療費の一部を支払つたことが認められる。
ただし、右支払いの日時については、これを認めるに足りる証拠がない。
(2) 時効中断事由としての債務承認における、所謂承認については、前記説示にとおりであるが、右説示は、原告植松における本件債務承認の主張にも妥当する。
したがつて、原告植松の右主張が肯認されるためには、原告吉岡の場合と同じく、八十嶋病院と原告植松間に右説示にかかる一定の関係が存在する旨の主張・立証が不可欠というべきである。
しかるに、本件においては、右説示に係る事実の主張・立証がない。
よつて、原告植松における本件債務承認の主張も、その余の主張事実の存否について判断するまでもなく、右説示の点で既に理由がない。
2 被告らの信義則違反行為の存否
(一) 証拠(甲一、一三、一四の各一、二、原告植松本人。)によれば、原告らは、平成元年六月一四日、被告小國に対し、本件事故による損害の賠償を請求する旨の書面を内容証明郵便をもつて送付し、右各書面が、翌一五日、被告小國に送達されたこと、原告らが、同人らと被告ら間における右損害賠償についての示談交渉を、丸岡英彦に委任したことが認められ、原告らが平成二年一月二四日本訴を提起したことは、本件記録から明らかである。
(二) しかしながら、原告らにおいて、右認定各事実以外で被告らの信義則違反行為と主張する事実については、これを認めるに足りる証拠がない。
よつて、原告らの、被告らにおける本件消滅時効の援用は信義則違反で無効である旨の主張も、理由がなく採用できない。
四 結論
原告らの本訴提起が平成二年一月二四日であることは、前記認定のとおりである。
しかして、以上の全認定説示を総合すると、原告らの本訴提起時、同人らの本件各損害賠償請求権については、既に消滅時効が完成していた、といわざわるを得ない。
よつて、原告らの本訴各請求は、当事者双方のその余の主張、特に原告ら主張の本件各損害額の主張につき、その当否を判断するまでもなく、右認定説示の本件消滅時効の点で既に理由がない。
(裁判官 鳥飼英助)
事故目録
一 日時 昭和六一年六月一九日午後四時二五分頃
二 場所 神戸市垂水区本多聞第二神明道路上り七、八KP路上
三 加害(被告)車 被告小國運転・被告会社保有の大型貨物自動車
四 被害(原告)車 原告吉岡運転・原告植松同乗の軽四輪貨物自動車
五 事故の態様 被告車は、本件事故直前、右事故現場道路の追越車線を走行していたが、右事故現場付近において、走行車線へ変ろうと左転把したところ、右車両がトレーラーであるため、前車が左方へ方向を変えた時後車がこれを押すような形になつた。そこへ、後方から右道路走行車線を進行して来た原告車が、被告車の左横部に追突した。